'99 Rally Raid Mongolの参戦レポート


■8月19日(8日目)マンダルオボー→ウランバートル 400.92km SPECIAL/ 36.08km LIASON


 みんなが拍手をして迎えてくれた。他のチームのメカニックが私のマシンを整備してくれる。ありがとう! スタートまで残り1時間しかないので、朝食をとり、準備し、記念写真を撮った。今日が最後だ!気を緩めない事。一列になって一斉にスタートを切る。道がいくつかあり、どれを選択しても、ミスコースはない。みんなアクセルを全開にして、タイムの勝負に出る。
 モンゴルは広すぎる!2時間もすると眠くなり、アクセルが自然に戻る。足がクタクタなので、スタンディング(バイクに立つ姿勢)が出来なくなり、座るしかない。凸凹の対応にはスタンディングの方が楽だしスピードも出る。座ったままだと頭まで振動して、本当にしんどい。体がだるく、手の動きも鈍くなり、すばやく操作が出来ない、スピードが落ちる。3日間、ほとんど寝ていない状態で、疲れがひどく溜まっている。毎日、明るいうちにビバークに到着すれば、整備と睡眠時間があり、余裕が出るのに。やっとSSゴールする。開放感を覚えた。久しぶりに舗装道に出る。8日間、色々な路面を走った事がよみがえる。完走したみんなと一緒に36.08km先のウランバートルへ向かう。チンギスハーンホテルの玄関の特設会場にALL FINISH(ゴール)!私は総合25位だった。完走したのはバイク 24台、車3台。初参加して、聴覚障害者として初完走した! 完走賞をもらう。
 総距離4099.02km、51台中、24台がリタイヤ!厳しいラリーだった。
 知らない土地でアクセルを開くのは本当に怖かった。実力のある人でも失敗するし、運もあるだろう。参加する必要条件は強い精神力、体力、技術、整備力、ナビゲーションだと思う。
 今までにロングトライアスロン(スイム3.9km、バイク180km、ラン42km)を数回完走したが、トライアスロンよりハードだ。ラリーが終わって、ホテルに入るとすぐに寝てしまった。体の疲労は激しくマシンは痛んでいる。8日間、風呂に入っていないし、顔が真っ黒! 空気が乾燥していて、髪の毛の油分もあんまりない。ゴビ砂漠にいた時は水が大切だと痛切に感じた。
 毎日のようにマシントラブルが多く、あわやリタイヤかと思う場面もあったし、タイムロスも多かった。バイクの整備を完璧にし、体力があれば、余裕のある走りが出来て上位に入れたはず…、少し残念。山岳、草原、砂漠とコースバリエーションの豊富さに感動したし、印象深いモンゴルでした。この経験を生かして、次回はダカールラリー等にチャレンジしたい。スポンサーがつけば、行ってみたいと思っている。

記念写真。左・パリ=ダカール優勝経験者のガストン選手。右・ラリーレイドモンゴル、前年度そして今年度2年連続優勝したガントルガ選手。中央が筆者。